実質的な手数料となっていた仮想通貨の消費税が廃止された?

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2018.07.24

仮想通貨自体には消費税がかからなくなった

2017年7月1日以降は消費税がかからなくなった

2017年7月1日以降、ビットコイン自体に対する消費税がかからなくなりました。それまでは他の商品やサービスと同様に、8%の消費税がかかっていましたが、現在は非課税となっています。消費税がかからなくなったのはビットコインだけではありません。ビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)も、ビットコインと同様に日本国内では消費税が非課税となっています。

これは仮想通貨投資家にとっては非常に大きな出来事でした。当時はビットコインの価格が急騰しており、消費税非課税によりさらにビットコインで収益を上げることが簡単になったため、多くの個人投資家がビットコインに投資をして相場はさらに過熱状態になってしまいました。

例えば日本円にして1,000万円のビットコインを買った場合は、その8%である80万円が消費税となっていました。気軽に投資できるのがビットコインなどの仮想通貨なのに、8%の消費税がネックとなって投資意欲を減退させてしまっていたのです。

また、せっかくビットコインが値上がりしてもそこから8%の消費税が差し引かれるため、安定して収益を出すことが難しくなっていました。特に短期間に取引を繰り返すデイトレーダーにとっては致命的な制度と言わざるをえません。

さらに2019年からは消費税が10%に上がることが予定されていたため、余計に投資環境の悪化が予想されていました。しかしそのような状況も2017年6月30日で終わりを告げて、現在のところ仮想通貨自体は非課税となっています。なぜそのような制度変更が行われたのでしょうか?

なぜ仮想通貨には消費税がかからなくなったのか?

消費税と仮想通貨の関係とは

日本国内で取引されるほぼすべての物やサービスに対して消費税はかかります。物はもちろんのことサービス(役務)に対しても消費税はかかります。例えば、銀行の送金手数料やATM利用手数料ですら消費税がかかっています。しかし、全ての取引に消費税がかかるわけではなく、一部の例外が設けられています。

  • 有価証券
  • 有価証券に類するもの
  • 支払手段

以上のものを取引する場合には、消費税はかかりません。日本国内においてビットコインなどの仮想通貨は、長らく「モノ」として扱われてきました。ビットコインは本来円やドルと同じような「通貨」を目指して作られたものです。

本来であれば消費税の非課税対象である「支払手段」に該当するはずですが、しかし日本国内の法律ではそのように見なされていませんでした。そもそも当時の日本国内の法律では、ビットコインのような仮想通貨をどのように取り扱うか全く想定されていなかったのです。

2017年の5月25日に「資金決済法」が改正され、それまでは日本の法律では定義されていなかった仮想通貨が、初めて法律で管理されることになりました。改正資金決済法以前の仮想通貨が単なる「モノ」として扱われてしまっていたのは、仕方のない側面もあります。日本だけでなく、他の海外の先進国でも仮想通貨をどのように取り扱うのか、政府は対応に苦慮していました。

実質的には法定通貨である円や、有価証券である株式などと同じような性質を持つ投資商品あるいは支払手段をもったものであるにもかかわらず、法律上の整備が追いついていなかったために「モノ」として扱わざるをえなかったのは、時代の過渡期とはいえ仕方のないことだったのです。改正資金決済法により、ようやく仮想通貨は支払手段と同等の扱いを受けるようになり、消費税が非課税となったのです。

日本国内においてビットコインをはじめとする仮想通貨への投資が加速した背景には、代表的な通貨であるビットコインの値上がりはもちろんですが、仮想通貨自体が非課税となったことも要因の一つと言われています。それほど消費税の8%が実質的な手数料となっていた以前の状態は、投資家にとってあまりにも不利と言わざるを得ませんでした。

国外取引が絡むと消費税の計算が非常に大変となる

また、仮想通貨自体に消費税がかかっていた時期は、仮想通貨の売買が国内取引だけで完結していればともかくとして、国外の仮想通貨取引所が絡むと消費税の計算が非常に複雑になってしまっていました。株式売買と違って、仮想通貨の売買は簡単に国境を超えてしまいます。

どの取引が国内取引で、どこまでが国外取引なのかは、現在の改正資金決済法や消費税法でも曖昧な部分が多く残されています。そのため税に関する専門家である税理士や、法のスペシャリストである弁護士の間でも見解が分かれている状態です。

ましてや自ら確定申告をしたことがない投資初心者にとっては、自分の手で確定申告をするのを諦めてしまうほどにハードルが高くなってしまっていました。改正資金決済法で実質的な手数料となっていた消費税がなくなったことは、投資家が確定申告をしやすくなるという思わぬメリットももたらしました。

仮想通貨の取引手数料には消費税がかかる

仮想通貨初心者がよく勘違いしがちな点として、「仮想通貨取引手数料も非課税になった」というものがあります。しかしこれは明確に誤解です。仮想通貨を取引所で売買する際には、基本的に取引手数料がかかります。この手数料に対しては、残念ながら現在でも必ず消費税が発生します。

これは今後も廃止の予定は一切ありません。仮想通貨自体に消費税がかからなくなっても、仮想通貨の売買に関しては仮想通貨取引所が提供する「サービス」なので、消費税は課税されます。これは決して仮想通貨特有の事情ではありません。仮想通貨取引と似ている「株式売買」「FX」で発生する取引手数料にも、同様に消費税が発生します。

株式売買は日本国内では「有価証券の譲渡」とされ、消費税の非課税対象です。しかし有価証券の売買に関わる手数料は課税対象なのです。同じことがビットコインなどの仮想通貨にも当てはまります。仮想通貨売買手数料には消費税がかかるものと覚えておきましょう。

2018年の確定申告に仮想通貨の消費税が与えた影響

2018年の確定申告に仮想通貨の消費税が与えた影響は非常に大きいです。なぜなら2017年の6月と7月の境目に消費税がかかるのかどうかというものが、法律上の制度でガラッと変わってしまったからです。

消費税がかかる以前に取得した仮想通貨を、消費税が非課税となった後に国外で売却すると8%の消費税分がまるまる還付されてしまうという、制度上の欠陥が残ってしまっていました。

この制度上の欠陥を悪用すると、投資家が不正に消費税を受け取ることができてしまうため、2017年の6月の取引においては消費税を特別な扱いとして適用するという猶予期間が設けられていました。

そのためただでさえ消費税の有無が年度内に変わってしまうというイレギュラーな状況に加えて、消費税の不正還付を防ぐための猶予期間も加わってしまったために、2018年に確定申告をした個人投資家は収益の計算が非常に難しくなってしまったのです。

2017年にビットコインが急騰したため、初めて投資家デビューをした人も多くいるでしょう。一定の収益を仮想通貨取引であげた場合は必ず確定申告をしなければいけません。もし2017年の確定申告をまだやっていない場合は、今からでも行わなければいけません。

その際は改正資金決済法で変わってしまった仮想通貨の消費税について、必ず正確な計算が必要となります。故意か故意じゃないかにかかわらず、不正確な確定申告を行ってしまうと後で納税額が増えるなどのペナルティが税務署から課せられます。仮想通貨の消費税には十分に注意をするようにしてください。

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